山本直樹『堀田HOTTA』

HOTTA 堀田 (F×COMICS)

HOTTA 堀田 (F×COMICS)

この人の作品の多くに共通している様に思えることがある。それはセックスはいやらしいものではあるんだけど、やましいものではないという所。
「エロ」ありきの作品世界のためにというより、セックスが如何にこの世にありふれたものであるかの表現に思える。
この作品でもそれは感じられて、SFとでも言える様な妙な世界観と相まって、独特のけだるい雰囲気のままどんどん展開していく。

絵は線の細さとコマ単位での構図の美しさが特に目を惹く。

番外として収められている「普通の日曜日」もとてもいいアジの短編。
いちゃつくカップルと28年前の「僕」山本直樹。なんかカップルの男の方がずっとほほえんでるのが不気味。まぁ楽しそうにやってるのは宜しいと思うけど。
最後の独白「28年たってこんなマンガ描いてる俺も俺だが 晴れた日曜に田舎を電車で通るときとか思う あれらの屋根の下ではきっとそういうことが起きているのだ うらやましいのだ」
そういうこととはああいうことだ。この話も上に書いた山本直樹らしい世界観を作り上げる元になった様な体験だろう。

もう一度書いておく。
やましくなんかない、セックスはいやらしいものだ。