よしながふみ『よしながふみ対談集 あのひととここだけのおしゃべり』

よしながふみ対談集 あのひととここだけのおしゃべり

よしながふみ対談集 あのひととここだけのおしゃべり

よしながふみが喋る喋る。対談というと本人は聞き手にまわりがちな様に思えるのに、アツく語りまくる。表紙は男二人が楽しそうに喋っている様子だけど、対談相手は全員女性。女性同士が「男×男」について語るのを見て、この人たちは女なのだな、自分には入っていけない場所なのだな、と感じる。妙な構図。目から鱗が落ちまくる。

同人の作品は知らないし、そんなに数を読んだ訳ではないけれど、よしながふみの作品については、BLとかではなくてゲイが出てくる面白い漫画だと思って見ていたのだけれど。西洋骨董菓子店については作者自身が「BLではない、ただゲイの人が出てくる少女マンガ」という風に言っている。「少女マンガ」と言った所にも何かこだわりがありそうだけれど、少しは作者の意図を汲めていたのかと思う。まあ、それがうれしいとか正しいとかはまた別の次元の話で、作品解釈は自由だと思うけど。

それとよしながふみ定義の「やおい」について。

「価値観の違うもの同士、でも相手を認めてはいるその関係は、女性同士であっても、私にとってはやおいなんですよ。」(p153)

その直後くらいには、恋愛関係には無いが、友情以上のとくべつなものを感じた時に「やおい」と名付ける、と言っている。創作物の中でセックスさせていることも「やおい」と呼ぶから、ごちゃごちゃになるんだと。
そう言われると、やおい脳がなんとなく理解出来るような気がしていて、例に挙げられた「ケイゾク」と「トリック」の主人公男女二人が「やおい」だとよしながが言うのは分かりやすい。それなら男男でも男女(女男)でも女女(ジョジョ)でもやおいは成り立つのだろうし、性別が無いものでも成り立つというのは飛躍ではないだろう。




最後にスゴく衝撃を受けたフレーズ。

福田里香「その人限定でレイプされるほど愛されたいってことなのよ。レイプは最上級の乙女表現にすぎない。」(p24)

なんというか、はあ、まいりました。と言った感じで。
ここだけ引用しても誤解を受けにくい様な洗練された表現だと思うんだけど、文脈が無いと微妙かな。その周辺は読んでみてほしい。