中島義道『哲学の教科書』

哲学の教科書 (講談社学術文庫)

哲学の教科書 (講談社学術文庫)

哲学史の入門書では無く、哲学研究者の入門書でもない。哲学的に考えるとはどういうことかの入り口を示す。
具体的には、いや具体的という言葉は適切でないかもしれないので、「例を挙げると」にしておこうか。「死」「私」「時間」「意志」など。
あとは哲学とは何で「ない」か、というのに一章割かれてあって面白い。自殺は思考の停止であり、哲学の否定であるというのには強く賛同する。

入門書であるから議論に専門用語が登場することは少ない。それでも緻密に洞察を重ねると論が複雑になるのは免れない。かなり理解しやすく書いてるのが伝わるけどね。
エッセイ的な文だと全開になる中島節はここでも健在だけど、少し控えめかな。最後に紹介されている「哲学入門」入門の本たちは参考にする。