原研哉『デザインのデザイン』

デザインのデザイン

デザインのデザイン

感想とか書評とか言えるほど文章に出来ないんだけど。

無印良品の広告。解釈の多様性。受け手が意味を盛り付ける。そこにあるのはメッセージではなくて、大きな受け皿である。なんとなく、とても日本らしいと思う。

「欲望のエデュケーション」2DKという言葉の例。言葉の使い勝手に美意識が引きずられる事。自分の場合は音楽のジャンル論とかが思い浮かんだけど、作り手の側が批評性を持たず、安易に名前に引きずられるとロクな事がない。意識的な美学があるなら良いが。レッテルやジャンル、それらの言葉は時に利便性を超えて意識そのものにまで影響するという事をよく考えなければいけない。



話し変わって、「情報の美」への三つの架け橋は、「分かりやすさ」「独創性」「笑い」だという。
特に「笑い」についてこんな文がある。

笑いとは、極めて精度の高い「理解」が成立している状態を表わしている。内容を理解していないで人は笑わない。内容を把握するだけではなく、それをさらに別の角度から鑑賞する余裕を持ったときにはじめて笑いが発生する。(p212)


日本語で笑いというと嘲笑とか苦笑とかマイナスに受け取れそうなものをも含むが、ここではユーモアという言葉に還元することが出来そう。知的で、かつ少し上品な「笑い」。自分はそれが好きだ。