吉田秋美「河よりも長くゆるやかに」

河よりも長くゆるやかに (小学館文庫)

河よりも長くゆるやかに (小学館文庫)

男子校の青臭くて、イカ臭い青春マンガ。女性がこういうのを描ける事にすごく驚いた。
ゲイネタも含むけど、なんだかうそ臭く無いというかまぁ別にありそうだな、と思う。
妙に美化されすぎていない男子像がすごくいいのだ。
登場人物たちに向けて、こういうヤツら友達にいるといいよな、と思ってしまうような。

ゆるさと少しのシリアスさがバランスいいのも読後感に影響していると思う。
米軍基地絡みでちょっと危険な事を色々やる主人公(?)は姉との関係も含めて、「ふつう」の高校モノとは少し違うアジを出すのに一役買っている。

何話目か忘れたけど、サブタイトル「大麻畑でつかまえて」には笑ってしまった。
つかまえる、がcatchじゃなくてarrestだろ、それじゃあ。

妙におとなしい共学校で地味にやっていた俺の高校時代とは全然違うけれど、なんだか色々な気持ちが読んでいる間に頭をめぐっていた。
ちょっとよく分かんないんだけど、さびしいとかうらやましいとか、ある種の青春モノに対して感じるモヤモヤ。
そのモヤモヤの中身は、たぶん全てが「快」では無いんだけど、常に持っていたい。
それが無くなったら死んでしまいそう。あるいは老化のはじまり。