岩明均『骨の音』

新装版 骨の音 (KCデラックス)

新装版 骨の音 (KCデラックス)

超名作『奇生獣』で有名な岩明均の短編集。デビュー作を含むということだが、そのデビュー作も他の短編に見劣りしていないと思う。
各作品30ページごとなのだが、そのページ数の中でも独特な人間像はたっぷりと表現されている。作者は本当に「へんなひと」を書くのがうまい。しかもその「へんなひと」が「普通」の社会から排除されたり無理に同一化するんじゃなくて、それなりに変な人のまま生きている感じが伝わってくるような。人の多様性への肯定感がある、と言ったら大げさだろうか。

同窓会にて、顔に落書きするのが大好きだった和田山くんの姿は見えないのだが、次々とそこにいる人々の顔に落書きがされていくという話「和田山
一見ミステリやホラーっぽくも見えるが、落書きという行為が絶妙。オチも含めて、スゴく妙な雰囲気だった。見事。