梅図かずお「ねがい」

短編集。タイトル作品にもあるように、ねがったことが現実になる、とか夢と現実の混同による恐怖の話が多い。
パソコンが実は異次元につながっているなんて私は思いたくない、しかし実はつながっている、君が今インターネットだと思っているのは異次元との交信なのだ、natokazuなんて人間は居ない、もうすぐ目の前の画面に見たことのない様な化け物が映る。

あなたの部屋の角にある鏡の端についた髪の毛が見覚えのない物であったり、壁の貼ったポスターに見覚えのないdada-moreとかいう落書きがあったり、冷蔵庫に入れていたプリンのカラメルソースだけがなくなっていたりとか、そんなことはよくあること。気にしないのが一番だ。気にするとそれは現実になる、あなたに襲い来る。

すべては幻想なのかもしれないし、そうじゃないのかもしれない、夜の夢が真だと言う人もいれば、胡蝶の夢が真理かもしれないという心理。
全てを疑うのも良いが、それで浪費するのは君の時間だし、キリが無い。何か見切りを付けられるのなら良いが、そこまでの意思決定は出来ない?
じゃあ襲われればいい。
被害妄想でも自意識過剰でも無い、幻想という怪物の話。