武富健治『鈴木先生』五巻
- 作者: 武富健治
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2008/07/11
- メディア: コミック
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止まらない過激。
教育問題を考えさせられる事以上にやはりマンガとして面白すぎるのがこの作品の魅力。
一部のセリフ回しや表情の演出の過剰さはギャグの域だけど、基本的には真剣な内容。
この巻の中心である掃除当番編がすごくいい。
飛びぬけて目立つ問題児でもなく、前に出てこなくてかえって目立つ問題児でもなく、ごくごく普通の気が遣える子。そういう子にかかる一見見えにくい負担の事を描いている。
シンプルにいうと目立った子に手をかけるだけが、先生の役割ではない、ということ。しかし、それだけでは教師の負担が増えるだけである。教師の役割そのものを見直す事必要性が述べられている。
具体的には同級生、友達関係のことである。
それをうまくエピソードに入れて語っている。ここらへんは語り方のうまさが際立っている。
鈴木先生が恋人の麻美に話して聞かせるという形式だけど、この麻美さんという女性の寛容さが引き立つシーンだったと思う。話を聞くのがすごくうまいのだ。もちろんマンガの展開上、回想を語るシーンに必要なことなんだけど。
その後「カミサマ」小川の家庭訪問は、思いのほかシリアス展開にならず終わる。シリアスどころか、むしろ鈴木先生の妄想が炸裂していて、ひどく笑える回であった。
しかし、散々引っ張ったネタのハズなのに、一話であっさり終わるハズが無いと思う。家庭訪問前に伏線の様なものがあったので、問題は後で見つかるんじゃないかな、と。
メモ「家族揃うと妙にハイテンションになる」
その後の夏祭り編は、学校外での生徒達の姿。そして、「大人」たちのコンビネーションの良さ。鈴木先生の金八が入ってるアツい説教。そして、オチは言えない。
相変わらず濃い怒涛の展開だけど、分かりにくく無いのがスゴい。こういうマンガを読めて幸せだと思う。