小澤征爾•広中平祐『やわらかな心をもつ ぼくたちふたりの運•鈍•根』

指揮者•小澤征爾と数学者•広中平祐、二人の「天才」の二日にわたる対談をまるまる収録。
解説にある通りほとんど会話をそのまま文字におこしたものに見える。お互い専門は違うから難しい言葉はほとんどない。
しかし、含蓄がある。そうでなければ、天才などと呼ばれる訳がない。
二人とも非常に自由で無邪気。

指揮者がフェルマータの呼び方を忘れるなんてありえない。前後の文章を読んでもとぼけている感じには読み取れないし。

広中
「うーんと覚えて、うーんと忘れる。その差以上にその和が大切だと思うんだ。素晴らしいと感じた事は忘れろって言われたって忘れられない。つまんないことは忘れるなと言ってもいつの間にか忘れる。」
p.236


文章の後半には同意しかねる、というかそうでない事も結構あると思うんだけど、うーんと覚えてうーんと忘れるというのはホントに心がけたいこと。
インプットしまくって、アウトプットしまくる。
もしかしたら、アカデミックな知識なんて残らないかもしれない。すごく概念的で、自分以外には説明のしようがない事かもしれない。
しかし、そういう事の方が本当の意味で「身になっている」ということじゃないだろうか。

「感じる」センス(同語反復っぽいけど、これしか思い浮かばない)
一生磨き続けたい。きっと、その方が楽しい。