アメリカでライブをした時のこと。その5。

その1からどうぞ。

・五月四日

この日のライブハウスはニューヨークのマンハッタン。前日にニューヨークに止まったから、自由時間が結構あった。自分はバンドのツアーで自由時間が楽しみで、少し空くとすぐに出かけるんだけど、他のメンバーはいつもライブハウスでと休んでいることが多いのでいまいちどう潰していいか分からなかったみたい。
いつもはとりあえず何を目指すでもなしに出て行くんだけど、今回ばかりは流石に地図が必要だった。


地下鉄に乗って、セントラルパークの近くまで行き、あたりをぶらつく。屋台で売っているデッカいプレッツェルを食べる。
大通りから抜けてきて、公園とか美術館が近くなるにつれて人が少なくなっていく感じはどの場所でも共通して好き。
流石にメトロポリタン近くはたくさん人がいて、入り口近くの階段でみなと同じように座っていても色々な人が見れて面白かった。

どの美術館に行くかかなり迷った末のメトロポリタンだったんだけど、これは失敗だった。あまりにデカ過ぎて、ジャンルを自分なりに絞ってもまだまだ広い。次行ったら迷わずMoMAへ。

あとはチャイナタウン。なんだかドでかい上野アメ横に居るような気分だった。
安くて胡散臭いバッグ、時計、宝石、ゲーム機などなどなどなど。逆に言うとソレしかないというか。


この日のライブは実質自分がTotalFuryのドラムとしての最後のライブ。途中でベースの音が出なくなってダメかと思ったが、パフォーマンスで持ち直し、結構盛り上がった。日本の客より反応がダイレクトすぎる。もちろん上下の意味で。

晩飯はベジタリアンレストランへ。
大体が豆腐というか豆を使った料理。メニューを見ているだけでかなり面白かった。そんなにまずいものは無かったけど、高野豆腐をステーキと言い張るのにはかなりムリがあるんじゃないかと思う。


・五月五日

日本に帰る。12時35分ニューヨーク発。

・五月六日

16時日本着。

そして自分はTotalFuryをやめた。
三年と三ヶ月。
学んだものは大きすぎたが、当然失ったものもある。両者のバランスが自分としては耐え難いほどに悪くなったというのがやめた理由。
ま、何かをやめる理由って大抵ソレなんだけど。
好きでやっている事ではあるものの、何かを学ぶのにはローコストハイリターンで行きたいじゃない。




五月四日のライブ。




今回でnatokazu先生の連載は終わりです、短い期間でしたがご愛読ありがとうございました。自分なりに整理が付いて良かった、と先生はおっしゃっています。
次回の連載にも、乞う、ご期待。
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