三味線のライアン三姉妹。ソロドラムのアナブキヒサオ。

ひっじょーーにローカルなライブに行って来た。
蔵王公民館という所で、夏祭り前のイベントの一環として開かれたと思われるイベント。無料の割になかなか面白そうで足を運んだのだが、その甲斐はあった気がする。
もちろん客は自分のすぐ近くにいたバンドやってそうなにーちゃん達と自分以外は、ほとんどが地域のおじさんおばさんおじいさんおばあさんおこさま、であった。
公民館でパイプイス。自分にとっては、吹奏楽をやっていた時以来のコンサートの雰囲気だった。


ライアン三姉妹。フライヤーを見たときにもしやと思っていたが、自分が大学で英語を習ったライアンの娘だとは。
16、13、9才の三姉妹。外見的には白人の女の子が和服着て、三味線持って、三人並んだらインパクトがあるに決まってる。
日本語が普通すぎてビックリしたが、よく考えたら驚くことでは無いので失礼だった。「外国人」が日本語喋るだけで驚いてしまうんだもんな。グローバリズムって一体何?

演奏はなかなか上手かった。各自ソロをやっていた時に三女の演奏がはらはらしたが、手を必死に伸ばして演奏する姿だけでかわいいから問題なし。っていうのも楽器演奏者に対しては失礼な話かもしれないけれど。
上二人は素人じゃあまり分からない位には上手かった。

あとは三味線という楽器のダイナミクスにスゴみを感じた。あんなに強弱が付く弦楽器って面白い。
だからこそ、あまりサステインも無く、ほとんど単音弾きなのにソロでも音楽として十分成り立ちやすいのだろう。

こんなに三味線って面白かったんだ、という事にギターをやって気づくことが出来た気がする。



次は、穴吹久夫さんのソロドラム。
この日のために書いた楽譜でのドラムエチュード四曲を演奏。
入り口で皆に配られた楽譜は、テーマ部のリズムパターンが書いてある所は普通のドラム譜だったけど、半分以上が図形楽譜になっていた。
楽譜を配ってどーすんだ、と最初は思ったがコンセプトの説明さえしてしまえば、普通の楽譜よりむしろ図形楽譜の方が想像力を刺激して面白いかもしれない。ふつーの楽譜だったら読めなければそれまで、だ。

技術的な事ではドラムのチューニングがすごく面白かった。フロアタムをマレットで叩いた時なんかはティンパニみたいな音を出していた。個人的にシンバルのセレクトは悪いと思う。タッチが繊細なのは見てて結構分かるのに、それが上手く活きていない感じ。
あと流石ジャズドラマーといった感じで、シンバルレガートが笑える速さだった。見た目はそんなに忙しそうに動かしていないのもスゴい。


最後に二曲、その場でテーマのリクエストをもらって演奏していたが、その時各自勝手に想像してください、というような事を言っていた。

ドラムというのは寡黙な楽器だ。ソロドラムを音楽として聴いてもらえるかどうかは非常に難しい。
その一つの可能性として、イメージを観客の側に大きく委ねてしまうというのはアリと思う。

通常の歌詞や演奏などで表現されたイメージ。自分が感情移入して乗っかったり
、そのイメージを読もうとする。

ドラムに歌詞は無い。マイナーコードなら悲しげ、みたいな単純イメージも無い。移入するべき/読むべきイメージも無い。
じゃあどうするって観客が補完する。もちろんどんな場合だって観客側の働きかけが無かったら、感情なんて生まれない。
割合の問題だ。例えば今回の場合歌詞は無いけれど、タイトルと曲についての解説があった。そこから客にどう想像させるかが問題だ。

想像力で埋めたくなる様な演奏。

演奏者と観客間の垣根が低い。

作り上げたイメージを上から叩きつけるようなライブも良いが、客とイメージ空間を編み上げるような音楽があっても良い。

音楽をやる者、そして即興をやる者として、ドラマーとして色々考えてしまった。