アメリカでライブをした時のこと。その3。

・四月三十日

この日も朝から五時間の移動だった。ペンシルヴァニア州フィラデルフィアを目指してREAGAN SSの車に乗って出発。音楽はMC5,PENTAGRAM,BLACK COBRA..文句無し。最高のDJだった。
色々とバンドを教えたり、教えてもらったり、なんてバンドやってる人の車中らしい会話なのだろうか。それまではそういう経験があまりなかったな。


この日の場所は、ツアーで回った中でダントツにひどかった。
まずライブハウス近くに着いて、ソコが開くのを待っていた時の話。

自分達の方へオッサンが歩いてくる。後ろから車が来る。オッサンに横付け。ドアを開けて話かける。オッサン車に乗る。ブーーーン。

何が起こったか分からなかったのだが、つまりそんなやり取りで「ヤク」が買える街らしい。たしかに殺伐としていた。

人がほとんど居なくて、ボロい倉庫みたいな建物が並び、ゴミが飛んでいる。
自分が行った地区はいわゆるスラムなのだろう。

そういえば色々な所で感じたが、アメリカは街にゴミが多すぎる。逆に日本が少ないのかどうかは知らないが。ポイ捨てというものにかなりの嫌悪感がある自分にとっては、複雑な気分になった。


近くに酒屋兼コンビニみたいな店があったので、ついでにコンビニ話。

自分が行った時の流行もあっただろうけど、派手な色をしたエナジードリンクが多い。エナジーバーもビックリする程の種類があった。
エナジードリンクは、ド派手なゲータレードみたいなのから最近日本でも売り出したレッドブルなど。エナジーバーはスニッカーズとか、ソレからピーナッツを抜いたようなモノ。
あとは、フレーバーウォーターも日本に比べて凄く多かった。日本でもボルヴィックにレモンフレーバーを付けたものが出ているけど、それの比にならないほど色々な種類があった。
そういえば1ドルショップで、ボルヴィックの6本セットが売っていたのはなんだったんだろうか。日本の100均はスゴイから特に驚くものはないかと思っていたので、妙な所で驚かされた。


さて肝心のライブだ。

妙に暗い上にステージと客席の境がほとんどないライブハウスだったので、背が低い自分には後ろにいるとほとんど見えない。なので、壁に付いていたイスに立ち上がって見ていた。

となりにも同じ様にして見ている女の子がいる。ピョンピョン盛り上がって見ていて、なかなかカワイイなと思っていたら突然キスされた。
突然すぎてかなりビックリしたんだけど、ありがたく受けて取っておこう。
と、思っているのもつかの間、なんだか彼女はあまりにもハシャギすぎである。周りとあまりにもテンションが違いすぎる。今度は胸を触らせてきた。うん、もう嬉しくない。

彼女は「ジャンキー」だった。
そして明らかにオカシイ人に「なっていった」が、つまみ出す人もいなかった。慣れているのだろうか。

その日、TOTAL FURYは今までに無い男女ツインボーカルというスタイルでライブをすることになった。
というのは、半分嘘でジャンキー女がマイクで叫んだり、ドラムの前に立ってみたりと、ずっと乱入していたのだ。
ヒドいライブだった。


ライブ後、ドリンクバーの明かりで照らされた中に見えた彼女の顔はボロボロの肌だった。




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