安部公房『砂の女』

砂の地獄。掘っても掘っても、被さってくる。反復、流動、渇き、時間、
砂の描き方が魔力的。砂に限らず、比喩が巧み過ぎて綺麗。
対するは、水。希望の象徴として出てくる。しかし、そんなに簡単な二項対立でも無い気がする。

映画を先に見たので、ある程度状況の画が浮かんだけど、そうでない場合は、舞台となる砂の地区がどう頭に浮かんだだろうか。
映画では岸田今日子が凄く可愛くて驚いた。今風に言うとヤンデレに近いかも。
男が「砂」から脱出しようとするシーンは、凄くスリリング。スピード感ある探偵物の様。
最後も無気味な倒錯具合。いや倒錯しているのか、していないのか。普通って何、日常って何?