インド料理とカリー JAY

細い裏路地を更に細い道に曲がったところにあるとても怪しい店。店に入ると怪しいインドっぽいポップス、店主の親父は、坊主で口の字の細い髭、左耳にやたらと装飾されたピアス。うさんくさすぎる。店中に貼られた演劇やら映画のポスター。席はカウンター沿いに四席のみ。店の置く半分は多分オヤジの居住スペースだろう、アルミラックの上に乗ったテレビやら、ビデオ、音楽テープが沢山つんである。
カレーはちゃんと美味かった。食べたのは三種類。タマゴ入りのものと鶏肉を煮込んだものと、野菜のみのカレーだった。そういえばナンというのはインドではあまり食べないらしい。そのかわりにプーリーというものがあった。店主「由利 三」曰く、ナンは膨らむし、材料が安いから効率としては良いのだそうだが、本場の味としてプーリーを提供しているそうだ。玉ねぎも真っ黒になるまで八時間位炒めるそうなのだが、他ではなかなかやっているところがないという。店が小さいから出来るこだわりなのだろうか。
このテの店に来るときに一番の楽しみは、如何にオヤジから薀蓄を聞き出すか、だと思ってる。インドを訪ねる日本人が用心のために汚い格好で行くと言う話。どんなに汚い格好で行っても、それより前からインドに滞在している日本人とはすぐ区別が付くという。それはインドにいると肌が黒くなるからだそうだ。二三日もいると黒くなると親父は言っていたが。
そういえば香辛料についての薀蓄も沢山あった。特に印象に残ったのはガラム・マサラについて。本来は香り付けのものであるので、辛いという意味はないそうだ。そのことについて何度か投書をしたというが、どこにしたのだろうか。今となっては普及しすぎて、直すのが難しいのだろう。
色々なエピソードを聴く過程で発覚したのが、実は店主はインド料理に関しては有名人であるらしいこと。「地球の歩き方」のインド編で料理紹介をほぼ一人で担当していた。そこまでの人が何故山形のちっさい店でやっているのかは少し謎だったが、なお胡散臭さを強めるので良しとしよう。こだわりが強すぎて、一人じゃないと出来なくなったのかもしれないが。

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