中村屋 支店

自分のアパートから近い場所にある中村屋支店。本店はもう無いらしい。今日は土曜日だというのに珍しく開いていたため、つい入ってしまった。ちなみに山形では飲食店が土日に休んでいるくらいで驚いてはいけないのだ。
店員は爺さん婆さんの夫婦のみ。それほど大きくない長方形の店内の三分の一ほどをキッチンスペースが占めている。壁は茶色いシミが出来ていて、天狗の面、木のメニュー板もかかっている。不清潔だとは言わないが、お世辞にも綺麗だとは言えない。
メニューはというと、カツが中心である。あるいは魚、牡蠣フライとか。カツにスパゲティとキャベツ、ごはんに味噌汁、それと漬物が定食になって500から700円。かなりボリュームがある割りに値段が控えめなところが好きだ。それと中村屋には裏メニューというのが存在するのだ。自分が知っているのは二品なんだけど、もしかすると他にもあるのかもしれない。裏メニューの方が表メニューに比較して量が多くて安い。それを知るには他の人が頼んでいるのを見るか、あるいはあなたの目前にある箱で調べれば何とかなる。
自分が入ったときにいた他の客は四人。作業服と長靴に新聞紙をもれなく装備したおっちゃんたち。それと後から入ってきた若い兄ちゃん二人。ジャージと手にトライバルのタトゥー。なんともカオスな店内だ。
店内のラジオで「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」が流れる。ジャージ「ふつーにギターソロかっけぇ」タトゥー「そうだな」。
そこで自分は会計をしようと立ったのだが、次に流れたのが「だらっただららだったら、ああん」っというやつ(曲名は忘れた、その後に「あなた知ってる」と続く。)あんまりなシチュエーションに吹き出しそうになった。
さてレジの前に立ったら、婆さんが新しく作った特製のドレッシングを鍋から漏斗、そこから大きなマヨの入れ物みたいな容器に移していた。あまりにスロースピードなので、もしかしたら自分の「会計お願いします」が聞こえなかったのかと思った。しかし、その間に爺さん(いつもジャージにサンダル)が出てきて、「ごめんねぇ」と言った時のばあさんのリアクションを見ると聞こえていなかったわけじゃないらしい。そこで婆さんが少しすまなそうにニコッとした時、ああ、また来ようと思った。レジがチーンと良い音を立てた。