よしながふみ『愛すべき娘たち』

natokazu2008-11-05

この人の描く憎たらしい顔というのは何て憎たらしいのだろう。そして全てのキャラが可愛らしい。こんな話を描けるよしながふみと付き合ってみたい。

冒頭で雪子の母麻里は雪子より三才年下の男と再婚する。魅力的なキャラが多い中この母麻里というキャラが特にいい。「親だって人間だもの機嫌の悪い時くらいあるわよ!」
学校の教師とかもそうだと思うけど、感情の起伏なんて当たり前だし、無理に隠したりする方が無理が出ると思うのだ。

ごく個人的な話(自分のブログに使う文句として適切でないかもしれない)だけど。恥ずかしながらこの年(21)にしてやっと母親も一人の女性であるという事を実感しつつある。まあ細かくは書かないが、そこらの女の子、俺の周りにいる様な女子と変わらない所も沢山あるのだ。そうしてやっと気がついた事をこのマンガで再確認した。カタチはもちろん違うけど。
話を戻そう。特に気に入ったのが見合いの話。この人の描く無言のコマはやはり良くて。悶える。
セリフは無い。しかし目線、表情、文脈、それらがあれば文字で語られなくとも理解が出来る。いや、文字で語られるのとは違う理解の仕方が出来るというか。


この一冊だけなのでとてもコンパクトだけど、濃くて読後感も良い。ニクい終わり方だ。いーマンガ読んだなーという気分になり、とてもしあわせ。