深澤直人『デザインの輪郭』
- 作者: 深澤直人
- 出版社/メーカー: TOTO出版
- 発売日: 2005/11/10
- メディア: ハードカバー
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無意識のデザイン、意図を消す、客観的に。
例えば、例に挙げられている、傘立ての話。
玄関に傘立てが無ければ、床タイルの溝に合わせて傘を置くだろう。その溝をデザインすることは、例え一般的な円筒型の物体は無くとも傘立てをデザインすることになる。
物体は無いけれど、目的は達している。深澤の言葉だと「行為に溶けるデザイン」ということになる。
実際目にしたことは無いが、もし自分が遭遇したら、その傘を立てるという行為の中に幸せを感じることだろう。
なんと気が利いていて、出しゃばらなくて、適切なのだろう。
「ふつうはすごい」
人はものを買うときはふつうを求めないのに、日常にもどったとたんに「ふつう」を求める。デザインは付加価値ではなくて、付加しないことがデザイン。ふつうをするには勇気がいる。「本当にふつうだけだと、やっぱり輝かない」
なんだか、すごく心に響く。というか大切にしないといけない感覚だな、と読んでいる間に何度も思った。
ありきたり、という意味ではなくて何気なくて良いもの。
自分も意図が見えすぎてしまっているもの(とか人)がそんなに好きでなくて、「あざとい」とよく口にする。
デザインの話と一緒にしてはいけないかもしれないけれど、「意図」「無意識」「ふつう」などの言葉はこれからも気にするんだろうな。